発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2008178565
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症例1:57歳男。ネコに左母指中手指節(MP)関節部を咬まれ、腫脹・発赤を来たした。抗生物質点滴にて高値を示したCRP値とWBC数は低下したが、腫脹・発赤は軽減せず、受傷後13日のX線で母指MP関節の関節裂隙の狭小化、中手骨・基節骨の骨硬化像を認めた。化膿性MP関節炎と診断し、関節滑膜切除を行った。術後炎症所見は消失したが、MP関節症に至り、受傷後23週での母指MP関節可動域は屈曲35°、伸展-15°で、疼痛が残存している。症例2:16歳男。友人を殴り、右中指MP関節部背側が歯に当り受傷した。開放のまま創処置されたが、受傷後4日に39℃台の発熱が出現し、腫脹および瘻孔より著明な滲出液を認めた。X線では明らかな所見はなく、蜂窩織炎と考え手術を施行した。瘻孔を追うと中指MP関節に至り、関節滑膜切除を行った。関節軟骨に異常は認めず、術中培養でStreptococcus milleri groupが検出された。術後炎症所見は消失したが、受傷後6週からMP関節の関節裂隙が狭小化し、31週のX線で関節症を認め、関節可動域は屈曲50°、伸展-10°であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2008