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目的:腰椎椎間板ヘルニアの治療において、同一術者により異なる手術法を用いた場合の治療成績の違いについて報告すること。背景:腰椎椎間板ヘルニアの手術法の代表的なものとしてLove法(従来法)が広く知られている。また、腰椎椎間板ヘルニアに対する小侵襲手術として、Caspar開創器を使用した顕微鏡視下手術(Caspar法)や、後方進入内視鏡視下手術(MED)が知られている。しかしながら、手術法の違いによる腰椎椎間板ヘルニア摘出術の治療成績の違いを前向きに研究した報告は少ない。対象および方法:対象はLove法(A群)が62(男性43、女性19)例、Caspar法(B群)が57(男性33、女性24)例で、手術時平均年齢はそれぞれ34(14~62)歳と41(18~65)歳であった。追跡調査期間は平均2年8ヵ月(12ヵ月~4年)であった。手術は全例、同一術者により行われた。調査項目は手術時間、出血量、入院期間、術後使用した鎮痛薬の量、術前と術後1年の日整会腰痛疾患治療成績判定基準(JOAスコア)、術前・術後の腰痛に関するvisual analogue scale(VAS,0~10)、術前・術後の下肢痛に関するVAS、周術期合併症、再手術例の検討である。結果:術後使用した鎮痛薬の量、術前と術後1年のJOAスコア、術後の下肢痛に関するVASに統計学的有意差はなかった。手術時間、出血量、入院期間、術後の腰痛に関するVASに統計学的有意差があったが、差は小さく臨床的には大きな問題ではないと思われた。結論:腰椎椎間板ヘルニアに対するヘルニア摘出術に関しては術者が習熟していれば、Love法でもキャスパー法でもどちらでもよいと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008