発行日 2007年7月1日
Published Date 2007/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007261017
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57歳男性。壮年者に発症し関節症変化をきたし人工膝関節全置換術(TKA)にいたったまれな滑膜血管腫の症例を経験した。右膝関節痛で近医の保存的治療で改善せず紹介受診した。右膝内側関節裂隙に疼痛、圧痛と膝関節全体の腫脹を認め、膝蓋跳動陽性、可動域(ROM)は伸展20°、屈曲90°であった。X線で大腿骨内顆関節面と軟骨下骨の不整、骨棘形成、骨萎縮とscallopingを認めた。消炎鎮痛剤内服と安静で疼痛は改善した。約半年後に疼痛と腫脹が再発し、関節穿刺にて20mlの黄色透明な関節液を認め、外側楔状の足底板で疼痛は改善したが、腫脹の改善は得られなかった。MRIで大腿骨内顆に軟骨陰影の欠損と関節面の陥凹・不整、内側側副靱帯の内側に腫瘍性病変、関節液の貯留、膝蓋大腿関節に滑膜の肥厚を認めた。初診後1年のX線で大腿骨内顆の軟骨下骨に周囲骨硬化巣を伴う骨破壊像を認め、人工膝関節全置換術(TKA)を行った。病理所見では滑膜から発生し、関節包及び周囲筋組織内に及ぶ広範な血管腫と診断した。
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