発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007117993
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85歳女性。患者は左膝関節痛を主訴に他医を受診、繰り返し行った関節液の培養検査で酵母様真菌が検出され、著者らの施設へ紹介となった。入院時、穿刺培養は2回とも陰性であったが、単純X線では大腿骨、脛骨に関節面の侵食像がみられ、MRI T2では軟骨面の消失、軟骨下骨の侵食像が確認された。以上、これらの所見より、本症例は真菌性膝関節炎と診断され、二期的に人工膝関節全置換術(TKA)を計画した。第1回目の手術では、関節内の掻爬、洗浄、抗菌薬入り人工膝関節型セメントスペーサー留置を行った。術後病理組織学的にCriptcoccusが検出され、抗菌薬の全身投与を併せて行い、ROM訓練、筋力訓練を開始した。しかし、術後3ヵ月で局所の炎症所見の沈静化を認めたため、術後6ヵ月にてTKAを施行した。その結果、TKA後8ヵ月で左膝ROM伸展は-15°、屈曲100°とROMが保たれ、更に日整会膝疾患治療判定基準では70点を認め、以後、患者は一本杖歩行が可能となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2007