大腿骨遠位部縦方向分節切除後にパスツール処理骨で再建した骨表面高悪性度骨肉腫の1例

29歳男.2ヵ月前より誘因なく左膝内側の自発痛が出現し,温熱療法,非ステロイド性抗炎症薬内服で軽快しなかった.X線で大腿骨遠位内側骨幹端の表面に一層の平行型骨膜反応と淡い石灰化を認め,CTでは皮質骨や骨梁構造に異常はなかった.MRIでは長軸方向に6cmの基部をもってなだらかに隆起する腫瘤を認め,骨表面より最大1.5cm隆起していた.T1強調像では等信号,T2強調像では低～中等度の不均一な信号を示し,ガドリニウムで均一に増強された.切開生検で骨表面高悪性度骨肉腫と診断し,手術を行った.生検部の内側広筋と大腿骨遠位骨幹から骨端にかけての内側半分を,縦方向分節状に関節面を温存するようにして切除した.切除標本から腫瘍部分を取り除き,60℃の生理食塩水中で30分間加温し,元の位置に戻して骨接合用プレートとスクリューで固定した.術後2年7ヵ月経過し,局所再発,遠隔転位はなく,Musculoskeletal Tumor Societyスコアは23点,骨癒合は良好であった