発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2006128132
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79例の健常者から採取した膝関節液と変形性膝関節症患者70例から採取した膝関節液を対象に,CLS500型ストレス制御式レオメーターにより粘度と粘弾性を測定し,ヒアルロン酸添加による変化を観察した.健常者,患者ともの関節液は剪断速度が大きくなるにつれて粘度が減少する傾向を示し,全ての剪断速度で健常者の正常関節液の方が粘度は高かった.分子量190万の1%ヒアルロン酸と患者の関節液を等量混合した場合は粘度は健常者とほぼ等しくなるまでに高くなったが,分子量90万のヒアルロン酸を同様に添加しても健常者の粘度には及ばなかった.粘弾性も健常者に比べて患者では有意に低く,ヒアルロン酸を添加した場合の結果は粘度の結果と同様であった.患者の関節液では損失弾性率,貯蔵弾性率共に正常の場合よりも低く,走向速度でも貯蔵弾性率は損失弾性率よりも低値となり,潤滑,衝撃緩和能力は低下している.変形性膝関節症関節液に等量添加するには粘弾性や粘性が正常関節液と同等まで復帰するのは分子量190万のヒアルロン酸であったが,関節液よりも低分子量であっても添加量により適切な濃度増加により正常関節液の性状に復帰させることが可能であると思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2006