発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004148702
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リン酸カルシウムセメント(CPC)に抗菌薬を混合した場合の薬剤徐放について基礎的実験を行った.抗菌薬としては,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に効果を有する粉剤の塩酸バンコマイシン(VCM)と液剤の硫酸アベカシン(ABK)を選択した.CPCに直接VCM或いはABKを混合する実験を行ったところ,初期の約1ヵ月間で浸漬した生理食塩水に大部分の抗菌薬が流出し,その後も持続的に溶出が認められた.いずれの抗菌薬においてもCPCを浸漬後約70~80日の期間,生理食塩水の抗菌薬濃度はMRSAのMIC90に相当する1.56μg/ml以上を維持していた.純粋セメントの最大圧縮強度は63.1Mpaであり,作製後6日で定常状態に達していた.CPCに対するVCMの混合比率を増加させると最大圧縮強度は低下することが明らかとなった.CPCに対するABKの混合比率が0.75~1.5%の範囲においては,作製されたセメントの最大圧縮強度に変化はみられなかった
©Nankodo Co., Ltd., 2004