発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004048449
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49歳男.31年前にオートバイ事故で左脛腓骨骨折,4年前に自動車追突事故で左膝蓋骨骨折の既往がある.今回誘因なく左下腿部痛が出現し近医を受診,画像所見から左下腿の軟部腫瘍を指摘され紹介入院となった.入院時,左前脛骨筋部に16×6cm,弾性硬の可動性を認めない腫瘤を触知,骨折の既往歴,骨化性筋炎に特徴的なX線像,ALP値上昇,MRIのT1強調像で等信号,T2強調像でのまだら状高信号,Gd-DTPAによる造影効果,骨シンチグラム・タリウムシンチグラムにおける核種の強い取り込みおよび血管造影での腫瘍濃染などが認められた.以上の所見から,稀ではあるが二次性骨外性骨肉腫など悪性腫瘍の可能性を考え,生検術を施行した.術中所見では前脛骨筋内の異所性骨化部周辺に黄白色泥状液体の貯留を認め,前脛骨筋内近位部には線維性被膜を有する嚢胞を認めた.病理組織学的所見では異常な石灰化と組織球を主体とした反応性肉芽様組織を認めたことから本症例は予想外のtumor calcinosisと診断された
©Nankodo Co., Ltd., 2003