発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2004048443
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29歳男.3ヵ月ほど前から飼い始めた雑種の子ネコにより擦過傷を受けたことのあった.明らかな誘因なく左肘内側上顆中心の腫瘤に気付き,MRI所見で腫瘍性病変を指摘された.左肘内側上顆から5cm中枢側に1×3cm大の弾性硬で辺縁が比較的明瞭な腫瘤を触知,圧痛を認めたが炎症反応を含めた血液生化学検査は全て正常であった.臨床症状からネコ引っかき病が疑われたが,画像所見上血管性腫瘍,悪性軟部腫瘍も否定できないため,入院となり生検術を施行した結果,術中迅速診断で悪性でないことが確認されたため,病巣を一塊にして摘出した.摘出標本の病理組織学的所見では腫瘤はリンパ濾胞を有するリンパ球の集簇よりなるリンパ節で,明らかな異形細胞は認めなかった.ネコ引っかき病に対する抗体価測定を施行した結果,IgG 1024倍,IgM 20倍とともに上昇していたこと,リンパ節腫脹およびネコとの接触歴などからネコ引っかき病と診断した.術後8ヵ月の現在,再発は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2003