発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003019807
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
59歳女.乳癌胸椎転移による下肢麻痺に対し後方除圧固定術を施行されている.転倒し右手部を打撲した.右母指痛が軽減せず,右第1中手骨病的骨折と診断された.画像所見などから,手部では第中手骨に限局した乳癌の骨転移を疑い,原発巣が根治的に加療されていること,比較的生命予後が見込まれることより,右母指へ30Gyの放射線治療を行い境界での腫瘍縮小を図った後,腫瘍切除,母指の再建術を施行した.病理組織所見では,中等度異形成を認める腺癌で,乳癌の転移所見であった.術後7ヵ月の単純X線像では移植骨の固定性は良好で,移植骨,大菱形骨,第2中手骨間には一部骨癒合を認めた.又,腫瘍の再発は認めていない.一方,母指機能は装具を使用することなく箸動作,書字が行え,母指対立機能も良好で疼痛もなく患者の満足度は高い
©Nankodo Co., Ltd., 2002