発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2003226061
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87歳女.左中指末節部の疼痛・腫脹を主訴とした.乳癌の診断で腫瘍摘出術を施行されていた.その後,主訴が出現した.X線所見で左中指末節骨の著明な骨溶解像を認め,再診時には明らかな骨溶解の進行が認められたが,遠位指節間関節は越えていなかった.感染が疑われたため切開したところ,少量の排膿が認められたため,抗生物質の点滴を開始した.抗生物質治療に全く反応せずその後も腫脹は増大し,皮膚の状態も悪化してきたため,左中指切断術[近位指節間(PIP)レベル]を施行した.切断指の割面所見では,充実性の比較的軟らかい腫瘍組織に置換され末節骨は消失していた.中節骨は正常に残存していた.病理組織像にて左中指の切断部に腫瘍結節を認め,胞体の豊かな大型の異型細胞が大小の胞巣を形成していた.術後同部の除痛は得られたが,術後2日目より呼吸困難が出現し,癌性胸膜炎と診断された.その際の血液検査所見はWBC12000/μl,CRP5.7mg/dlであった
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