発行日 2002年6月1日
Published Date 2002/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002222744
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61歳男.数年前より労作時に右肘関節部の鈍痛を自覚することがあった.1ヵ月前に右肘関節部を打撲したあと鈍痛が増強し受診した.単純X線検査で上腕骨遠位骨端部外側に,骨硬化帯に取り囲まれた内部が均一な病的透明巣を認めた.骨シンチグラムでは,X線像での透明巣の部位に一致して強い集積像が認められた.CTでは同部位に境界明瞭で内部が均一な病巣を認め,MRIではT1強調画像で内部が均一な低信号,T2強調画像で内部が均一な高信号を呈する病変として描出された.これらの所見より骨内ガングリオン,軟骨粘液性線維腫,孤立性骨嚢腫などを考え,試験切除術を兼ねた病巣掻爬+骨移植術を施行した.掻爬された病巣は約2.5×3cm大で,内部には黄色の血清様内容液を認め,隔壁はなく単房性・嚢腫様であった.嚢包壁を形成する組織は一部に粘液様変性をみる線維性結合織で,散在性に類骨形成がみられ,軟骨基質や巨細胞は認めなかった.術後,労作時の鈍痛は消失した
©Nankodo Co., Ltd., 2002