発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002148491
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37歳女.初診の約2ヵ月前,右手掌部にアズキ大の腫瘤を自覚した.その後腫瘤は徐々に増大し,更に母指と示指の痺れ感も出現したため受診した.初診時腫瘤は2×2cm大で,ほぼ円形,弾性硬であり,皮膚との癒着は認めず,圧痛があった.画像所見より線維肉腫や悪性線維性組織球腫などを考え,試験切除術をかねた腫瘍切除術を行った.横手根靱帯を切開すると腫瘍は手根管末梢部に存在しており正中神経の一部と癒着していたため,神経を顕微鏡下で愛護的に剥離し,腫瘍を一塊として切除した.切除標本は病理組織学的に紡錘形細胞が花むしろ状に増殖し,核分裂像もみられ,多核巨細胞の集簇も認められた.これらの所見より悪性腫瘍は否定され,臨床経過等も考慮して結節性筋膜炎と診断した
©Nankodo Co., Ltd., 2002