発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2002060217
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64歳女.両側変形性膝関節症の為7年前に右,左人工膝関節全置換術を受けたが,左膝内側に圧痛を伴う腫瘤が出現した.単純X線で左膝のポリエチレンの摩耗,脛骨トレースクリューホール周囲の骨融解像を認めた.MRIでは左腓腹筋内側頭内にT1強調像で低~等信号,T2強調像で高信号の10×5×3cmの腫瘤が存在し,腫瘤の近位部には茎状の部分がみられ,関節内部との連続性を認めた.手術所見で,腫瘤は膝窩部に存在したBaker嚢腫から下腿内側に垂れ下がるように嚢胞を形成していた.嚢胞は周囲との癒着はなく,割面には血腫を認めた.病理組織学的所見で,嚢胞壁内に多数のポリエチレン摩耗粉が存在し,それを貪食しているマクロファージの像を認めた.術後3年で左膝に腫瘤の再発はなかったが,右膝ではポリエチレンの摩耗が強く,スクリューホール周囲の骨融解像も進行していた為,自家骨とハイドロキシアパタイトを用いて再置換術を施行した.手術所見ではX線像よりも骨融解部分での骨欠損が大きいことが確認できた
©Nankodo Co., Ltd., 2001