発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017380371
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71歳女。検診の腹部超音波検査で肝門部腫瘤を指摘され受診した。腹部CTで肝門部に約6cm大の腫瘤を認めた。腹部造影CTで肝門部に低吸収腫瘤を認め、右肝動脈が前方に圧排され、左肝動脈が左方に圧排されていた。腹部MRIで肝門部に脂肪抑制T1強調像で不均一な低信号、脂肪抑制T2強調像で高信号の腫瘍を認めた。これらの所見から、鑑別疾患として、神経鞘腫、GIST、肉腫、悪性リンパ腫などが考えられ、悪性の可能性が否定できなかった。腫瘍の十二指腸への圧迫がなく、腫瘍が肝十二指腸間膜内に存在し、周囲に動脈・総胆管・門脈が存在することから、EUS-FNA検査で経十二指腸的に穿刺することはリスクを伴うと判断し、手術を行った。開腹所見は肝十二指腸間膜内に約6cm大で弾性硬の腫瘍を認めた。左右肝動脈は剥離困難であり、浸潤を疑わせる所見であったため温存困難と判断した。左肝動脈は左胃動脈からの共通幹を有しており、その合流部腫瘍側で結紮・切離し、右肝動脈は右胃大網動脈と端々吻合した。摘出した腫瘍は65×50×45mm大で、病理組織所見から神経鞘腫と診断した。
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