発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014122298
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60歳代男。検診目的での腹部超音波で膵頭部に膵嚢胞を指摘され、著者らの施設が紹介となった。所見では膵酵素の異常なく、CEAとCA19-9は正常範囲であった。また、腹部CTでは膵頭部に径6cmの多房性嚢胞が認められたが壁在結節はなく、MRCPでは膵頭部に径6cmの多房性嚢胞、体尾部に嚢胞性病変が散在し、主膵管は径4mmに拡張していた。更に逆行性膵管造影では乳頭は著明に開大し、粘液の流出が認められ、膵頭部嚢胞は膵管と交通しており、膵管内に欠損像が認められた。以上、これらの所見とあわせて膵液細胞診を行なったところClass IIIで、本症例は嚢胞径6cmの分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と診断され、手術が行われた。その結果、腹水や腹膜播種、肝転移は認められなかったが、膵鉤部の膵実質は門脈背側で膵体部に連続し、門脈周囲を取り囲むcircumportal pancreas(CP)で、膵頭部の嚢胞性腫瘍は膵内に限局していた。一方、嚢胞は内に粘膜を含有し、壁在結節を認めない径6cmの腫瘍で、病理所見では分枝膵管に広範囲の腺腫像がみられた。尚、目下は術後2年経過で無再発生存中である。
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