発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017300896
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59歳男。主訴は排便異常で11ヵ月前に前医にて肛門周囲膿瘍に対し切開排膿術、その2ヵ月後に瘻孔切除術が施行されていた。腫瘍マーカーの上昇を認め、下部消化管内視鏡所見では直腸RSに2/3周性の2型病変を、Rb~Pに中央が潰瘍化した粘膜下腫瘍様の形態の隆起性病変を認めた。骨盤部MRIではRb~PにT2強調像で高信号を呈し内外肛門括約筋へ進展する腫瘤を認め、生検では2病変とも高分化型腺癌であった。Rb~P腫瘍は痔瘻への管腔内転移と考えSS N3 M1 cStage IVと診断した。術前にXELOX療法を4サイクル施行後、腹会陰式直腸切断術、D3郭清、両側側方リンパ節郭清を行った。病理組織学的にはRb~Pの病変は扁平上皮下に粘液貯留を認めるのみで癌細胞は消失していた。術後、仙骨前面に膿瘍を形成しドレナージを要したが35日目に退院した。
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