腹膜悪性腫瘍
腹膜の構造と病理
本田 一穂
1
1昭和大学 顕微解剖学
キーワード:
局所解剖学
,
腫瘍播種
,
器官形成
,
中皮腫
,
腹膜
,
腹膜腫瘍
,
マクロファージ
,
網
,
上皮間葉転換
,
大網乳斑
,
中皮細胞
Keyword:
Anatomy, Regional
,
Neoplasm Seeding
,
Macrophages
,
Mesothelioma
,
Omentum
,
Peritoneal Neoplasms
,
Peritoneum
,
Organogenesis
,
Epithelial-Mesenchymal Transition
pp.1097-1105
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015380964
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
腹膜は発生学的に中胚葉由来で,消化管の円滑な蠕動運動を確保することがその主要な役割であろう.間葉由来の中皮細胞の多彩な機能がそれを支えている.腹膜に発生する悪性腫瘍は中皮腫と腹膜癌ならびに多臓器の癌の腹膜播種が重要である.中皮腫の多様性は中皮の機能の多様性に由来する.腹膜癌は腹膜の発生にMueller管が関連することより,その遺残から発生する腫瘍と考えられている.癌の播種は大網のリンパ組織であるmilky spot(MS)から起こるとされ,癌細胞とリンパ球・マクロファージ・中皮の細胞応答が活発である.腹膜の構造と病理現象の研究は,癌の播種や転移に対する治療の開発や再生医学の進歩に役立つことが期待されている.
©Nankodo Co., Ltd., 2015