膵癌の最新治療 Borderline resectable膵癌と術前化学療法
日本膵切研究会による本邦のborderline resectable膵癌の切除成績
加藤 宏之
1
,
岸和田 昌之
,
伊佐地 秀司
1三重大学 肝胆膵・移植外科
キーワード:
質問紙法
,
膵切除
,
膵臓腫瘍
,
治療成績
Keyword:
Pancreatectomy
,
Pancreatic Neoplasms
,
Surveys and Questionnaires
,
Treatment Outcome
pp.510-516
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015211905
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本稿では第37回日本膵切研究会において集計されたborderline resectable(BR)膵癌アンケート調査の結果を紹介し,本邦におけるBR膵癌の治療成績について解説する.治癒切除を企図した膵癌3,554例のうち,BR膵癌に分類される673例(頭体部624例,尾部49例)の治療成績を検討したところ,BR膵癌の5年生存率は全体で9.9%であった.しかし,(1)動脈因子がない症例,(2)術前治療施行例,(3)術後治療施行例,(4)治癒切除例では予後が有意に良好であった.BR膵癌の治療には門脈因子のみのBR-PVと動脈因子を有するBR-Aとは分けて考える必要があり,かかる疾患を治療するには根治術に加え術前後の補助療法も含めた集学的治療が必須である.
©Nankodo Co., Ltd., 2015