臨床と研究
結腸癌術後成績に及ぼす早期経口摂取開始と腹腔鏡手術の効果
巷野 佳彦
1
,
堀江 久永
,
清水 徹一郎
,
鯉沼 広治
,
宮倉 安幸
,
田中 昌宏
,
安田 是和
1自治医科大学 消化器外科
キーワード:
開腹術
,
結腸腫瘍
,
結腸切除
,
手術創感染
,
手術創離開
,
腸閉塞
,
入院期間
,
腹腔鏡法
,
再入院
,
治療成績
,
クリティカルパス
,
周術期管理
Keyword:
Colectomy
,
Colonic Neoplasms
,
Length of Stay
,
Intestinal Obstruction
,
Laparotomy
,
Laparoscopy
,
Patient Readmission
,
Surgical Wound Dehiscence
,
Surgical Wound Infection
,
Treatment Outcome
,
Critical Pathways
,
Perioperative Care
pp.60-65
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015149830
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待機的結腸癌切除術を施行した299例を対象に、以前のクリニカルパスで周術期管理を行った162例(3日目経口摂取開始パス群:A群)、経口摂取開始時期を早めたクリニカルパスで周術期管理を行った137例(1日目経口摂取開始パス群:B群)に分け比較した。その結果、A群に比べB群では術後平均在院日数が有意に短かった。術後合併症ではSSI、イレウスの発生頻度に差はなく、縫合不全も認めなかった。術後30日以内の再入院率、再手術率ともに両群間で差はなかった。再入院の原因を詳細に検討したところ、イレウスによる再入院率がB群で有意に高かったが、イレウス管による減圧治療を要したイレウスの発症率に2群間で差はなかった。開腹手術と腹腔鏡手術の術式別検討では、いずれもB群で術後在院日数が有意に短縮していたが、腹腔鏡手術では術後の退院遅延のバリアンスも少なかった。更に、B群において開腹手術と腹腔鏡手術例を比較したところ、術後在院日数は腹腔鏡手術例で有意に短く、バリアンスでは腹腔鏡手術例で術後在院期間が延長した症例の割合が有意に低かった。また、合併症の頻度は検討したいずれの項目も腹腔鏡手術例で少なかった。
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