外科領域のpros and cons
胃上部早期胃癌に対する術式選択 胃全摘術
布部 創也
1
,
比企 直樹
,
大橋 学
,
本多 通孝
,
佐野 武
,
山口 俊晴
1がん研究会有明病院 消化器センター外科
キーワード:
質問紙法
,
胃腫瘍
,
胃切除
,
腫瘍再発
,
生活の質
,
腹腔鏡法
,
噴門
,
治療成績
Keyword:
Cardia
,
Gastrectomy
,
Neoplasm Recurrence, Local
,
Laparoscopy
,
Quality of Life
,
Surveys and Questionnaires
,
Stomach Neoplasms
,
Treatment Outcome
pp.1570-1574
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015031169
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上部早期胃癌に対する術式として,胃全摘(TG)と噴門側胃切除(PG)が考えられる.PGは再建の困難性,術後の食事摂取や逆流性食道炎が問題となり,適応が議論されている.本稿では,TGとPGに関して腹腔鏡手術を念頭におき,検討と考察を加えた.PGにおいて食道-胃吻合では高度の逆流性食道炎が高頻度に認められ,やはりなんらかの逆流防止機構が必要と考えられた.また,アンケートによるquality of life(QOL)調査においても,PGは期待されるほどの良好なQOLを保持しているとはいえなかった.上部早期胃癌に対して術後短期成績が担保されればTG,PGとも選択肢になりうるが,TGは短期,長期成績で安定したシンプルな術式であった.上部早期胃癌に対する腹腔鏡手術による長期予後やPG後の残胃癌の発生などは多施設での研究が必要であり,今後の課題である.
©Nankodo Co., Ltd., 2014