癌個別化医療はどこまですすんだのか
総論 消化器癌の個別化医療 分子標的治療薬を中心に
高橋 孝夫
1
,
吉田 和弘
1岐阜大学 腫瘍外科
キーワード:
胃腫瘍
,
抗腫瘍剤
,
腫瘍マーカー
,
消化器腫瘍
,
大腸腫瘍
,
オーダーメイド医療
,
分子標的治療
Keyword:
Antineoplastic Agents
,
Digestive System Neoplasms
,
Stomach Neoplasms
,
Colorectal Neoplasms
,
Biomarkers, Tumor
,
Precision Medicine
,
Molecular Targeted Therapy
pp.1027-1032
発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011352199
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分子生物学の発展に伴いゲノム解析がすすみ、個人の遺伝子情報が解明できるようになった。そこで、個々の患者に最適な治療を行う個別化医療がすすみつつある。遺伝子多型の研究がすすみ、抗癌薬の有害事象に関してirinotecan(CPT-11)に対するUGT1A1遺伝子多型検査で判断がつくようになった。また個別化医療を創薬に応用した分子標的治療薬が登場してきた。癌細胞特異的な分子を標的として抗腫瘍効果を発揮する治療薬で、これに関連しバイオマーカーも同定されつつある。分子標的治療薬である抗上皮成長受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)抗体cetuximab/panitumumabはKRAS遺伝子がバイオマーカーとなることが判明し、KRAS野生型の患者にのみ使用し、抗HER2抗体trastuzumabはHER2陽性の患者に使用するというような個別化医療が実臨床に応用されている。
©Nankodo Co., Ltd., 2011