発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010079906
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当院ではこれまでに経皮経食道胃管挿入術(PTEG)を170例行っており、今回唯一、造影時に食道穿孔をきたした症例を経験した。患者は72歳男性、経腸栄養目的でPTEGを施行した。住友ベークライト社製PTEGキットを使用し、手技は大石らの方法に従い、超音波エコーと透視を併用して行った。PTEG専用の留置用チューブであるボタンタイプ・ショートチューブ(15Fr,45cm)を挿入した後、チューブより造影すると縦隔への造影剤流出がみられ、食道穿孔が疑われた。ただちに胸部単純CTを施行したところ、PTEGチューブは左頸部から食道内に挿入されていたが、後縦隔への造影剤流出と縦隔気腫がみられた。CT後に透視で確認すると、チューブは先端が屈曲した状態で、挙上空腸内に挿入されていた。再度造影を行ったが、造影剤はすべて肛側の空腸へ流出し、食道穿孔部は確認できなかった。ガイドワイヤーを用いてPTEG留置用チューブを16Frセイラムサンプチューブに入れ替え、食道内が十分減圧されるように、チューブ先端が吻合部直上に位置するよう留置した。チューブは20cmH2Oで吸引し、持続ドレナージとした。術後8日目に左胸水の増加を認め、左胸腔ドレーンを挿入した。胸水は4日間の持続ドレーンにより改善した。術後16日目に食道造影を行い、縦隔への造影剤漏出がないことを確認したうえで、セイラムサンプチューブをPTEG用のボタンタイプ・ミドルチューブ(15Fr,70cm)に入れ替え、先端を空腸内に留置した。術後18日目にPTEGからの経腸栄養を開始し、25日目には1日1250kcalの栄養投与が可能となった。
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