術後胆道合併症の防止とその対策
悪性疾患 肝細胞癌に対する肝切除
大久保 貴生
1
,
高山 忠利
1日本大学 消化器外科
キーワード:
ドレナージ
,
医学用イラストレーション
,
局所解剖学
,
肝細胞癌
,
肝切除
,
結紮
,
術後合併症
,
Glisson鞘
,
胆汁漏出
Keyword:
Anatomy, Regional
,
Drainage
,
Hepatectomy
,
Carcinoma, Hepatocellular
,
Ligation
,
Medical Illustration
,
Postoperative Complications
pp.927-931
発行日 2008年9月1日
Published Date 2008/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008318954
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近年、肝切除の安全性は非常に高くなっているが、胆道合併症は4.8~9.0%と報告されており決して少ない合併症ではない。時に胆汁漏から重症感染症となり肝不全の引き金になりうるので注意が必要である。肝管後枝が左肝管に合流するものがあるなど、解剖学的変異を理解しておくことは重要である。葉切除、区域切除を行うときには術前に磁気共鳴胆道膵管造影(MRCP)などにより解剖学的変異の有無を確認しておくべきである。肝離断中Glissonの処理は特に慎重に行う。術中に十分に胆汁漏がないことを確認する必要がある。ドレーンは術後の合併症を最小限に抑えるうえで重要なポイントの一つである。以上のように、合併症を最小限にするには解剖を熟知し、繊細な手術が必要となる。胆道合併症発生時には早期に適切な治療を行い、重篤にしないように細心の注意と観察が必要になる。
©Nankodo Co., Ltd., 2008