発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005007512
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58歳女.腹部腫瘤を主訴とした.腹部CTで左腎周囲に脂肪濃度を示す腫瘍を認め,後腹膜脂肪肉腫と診断し,腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的所見で腫瘍の大部分は成熟脂肪細胞からなり,ところにより大型異型核を有する異型脂肪芽細胞が出現し,高分化型脂肪肉腫と診断した.以後18年間に再発,再燃を繰り返し計7回の手術を行った.1,2回目は治癒切除と考えられていたが再発した.3回目以降の手術では,腫瘍を全て切除することは困難となり,腫瘍の減量手術となった.5,7回目の手術では腸骨の合併切除を行った.病理組織学的には初回手術時から高分化型で変化はなかったが,6,7回目の標本で大型の異型細胞が若干増加していた.現在,遠隔転移なく外来通院中であるが,腹腔内および骨盤腔内は腫瘍で占められており,腹満感,子宮脱の他,腫瘍圧迫による左下肢のしびれ感などの症状と,有効な治療がないことから不安症となり,精神的ケアが必要となっている
©Nankodo Co., Ltd., 2004