発行日 2002年11月1日
Published Date 2002/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003116859
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48歳女性.14年間にわたり6回の外科的切除を施行し,現在も遠隔転移もなく生存中である腹膜脂肪肉腫の1例を経験した.症例はその再発部位について,2~4回の手術時には前回手術時の腫瘍存在部位近傍に見られ,手術時の肉眼所見では完全に摘除を行えたように思えたが,腫瘍被膜を越えた周囲組織,および臓器への直接浸潤が存在しており,その取り残し(tumor spillage)が直接関与していた可能性が考えられた.だが,第5回手術時に認められた盲腸周囲の腫瘍は,第4回手術時における腹腔内病変とはCT上で明らかに異なっており,内部densityを呈し多中心性に発生していた.いずれにしても,脂肪肉腫は通常単発の腫瘤であり,同時性に原発巣が多発していると考えられる症例は稀で,局所再発例に関しては化学療法や放射線療法の効果が期待できないため可能な限り再切除を行うが,本症例のように多中心性に発生した場合は,外科切除が困難となる恐れがあり,注意深い観察が必要と思われた
©Nankodo Co., Ltd., 2002