発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007065570
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65歳女。間欠的な腹痛と嘔吐を認め、不全イレウスの疑いで入院となった。画像検査と腹部手術歴(虫垂炎と子宮外妊娠)から癒着性イレウスと診断された。保存的治療と減圧治療で自覚症状は改善したが、発熱からショック状態となり、血液培養でEscherichia coli(E.Coli)が検出され、血中エンドトキシンは高値であった。又、自覚症状はなく、画像検査にも異常は見られず、癒着性イレウスによるbacterial translocation(BT)で敗血症性ショックとなったと診断された。ショック状態離脱後、播種性血管内凝固症候群(DIC)及び急性呼吸促迫症候群(ARDS)の状態となり、保存的治療は危険との判断で手術を施行した。腸管拡張は比較的経度で、うっ血及び穿孔を認めず、癒着剥離のみ行った。ARDSには好中球エラスターゼ阻害剤を、DICはgabexate mesilate及び低分子ヘパリンを、敗血症へは抗生物質及び人免疫グロブリン製剤を使用し、術後2週で退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2006