発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005268584
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膵の外傷は交通事故によるシートベルト・ハンドル外傷が大部分である.膵外傷では膵が単独で損傷を受ける場合は少なく,多くは合併損傷を伴っている.臨床症状や重症度は膵の損傷だけでなく合併損傷の程度によってさまざまである.診断には理学的所見,腹部単純X線像,血液検査,腹部超音波検査,腹部CT検査,内視鏡的逆行性膵管造影(ERCP),MRI,核磁気共鳴胆管膵管造影(MRCP)などによって総合的に行う.しかし合併損傷により開腹が必要となり術中に膵外傷の程度を判断しなくてはならない症例も多い.治療は膵浮腫に対しては保存的に経過を観察する.また,膵挫傷でも明らかな膵管損傷がなければ保存的治療が可能である.膵管分枝の損傷や高度の挫滅が明らかな場合にはドレナージ術が基本となる.体尾部で主膵管が断裂している場合には膵尾側切除術が行われる.膵頭部では膵頭十二指腸切除術のような侵襲の強い手術より,2期的手術を念頭に置いたドレナージ手術を考慮する必要がある
©Nankodo Co., Ltd., 2005