発行日 2004年12月1日
Published Date 2004/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005036511
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49歳女.29歳時に上行結腸癌,30歳時に下行結腸再発,40歳時にS状結腸再発で各々切除術を受けていた.今回,検診で便潜血を指摘され,肛門輪から4cmの部位で回腸嚢直腸吻合部から直腸にかけて前壁を中心とする長径1.5cmの隆起性病変を認め,中心に浅い陥凹を認めた.手術所見で腫瘤は前壁にあり,吻合部の回腸嚢を1.5cm,直腸を2.5cm切除し,J-pouchと直腸を自動吻合器で端々吻合した.病理組織学的所見で,腫瘍はtubularないしcribriform patternをとって増殖するmoderately differentiated adenocarcinomaが優位であったが,深層に粘液産生の目立つmucinous carcinomaの成分があった.癌腫の一部は吻合部付近で漿膜下組織に浸潤していた.APC遺伝子解析を行ったが変異は認めず,計4回の切除標本をまとめた結果は進行癌5個,早期癌7個,腺腫36個であった.家族歴に結腸癌はなく,attenuated familial adenomatous polyposisは否定的であった.術後経過順調で,2年6ヵ月後も再発転移はない
©Nankodo Co., Ltd., 2004