低侵襲手術の最前線 心臓血管領域
正中切開下人工心肺非使用冠状動脈バイパス 傾向スコアを用いた人工心肺使用バイパス術との比較
沼田 智
1
,
山崎 祥子
,
夜久 均
1京都府立医科大学 心臓血管外科
キーワード:
冠動脈疾患
,
人工心肺
,
データベース
,
ロジスティックモデル
,
治療成績
,
マッチドペア分析
,
非体外循環下冠状動脈バイパス術
,
Kaplan-Meier法
,
傾向スコア
Keyword:
Coronary Disease
,
Heart-Lung Machine
,
Logistic Models
,
Matched-Pair Analysis
,
Treatment Outcome
,
Databases as Topic
,
Coronary Artery Bypass, Off-Pump
,
Kaplan-Meier Estimate
,
Propensity Score
pp.573-580
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016309866
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正中切開下人工心肺非使用冠状動脈バイパス(OPCAB)について傾向スコアを用いた人工心肺使用バイパス術(ONCAB)と比較検討した。完全血行再建を行った単独冠状動脈バイパス術1030例を対象とし、術後早期・遠隔期のOPCABとONCABの比較検討を行った。手術死亡はOPCAB群で有意に少なく、胸骨感染、長期ICU滞在、長期人工呼吸管理もOPCABで少なかった。傾向スコアを用いた術前リスク調整後の分析では、心房細動を除く検討した全てのパラメータでOPCABのORが1以下となり、病院死亡、長期ICU滞在、長期人工呼吸管理では有意差を認めた。全死亡率、MACCEともに両群間に有意差を認めなかった。JACVSDを使用した検討では、30日死亡、病院死亡はOPCABで低い傾向にあった。死亡と主要合併症を併せたcomposite、出血再開胸、新規血液透析、術後感染症、長期人工呼吸、消化管出血、長期ICU滞在ともにOPCABで有意差に低かった。JAPAN scoreと実際の死亡率を比較すると、OPCABではJAPAN scoreで予測された死亡率よりも低く、ONCABでは高かった。
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