胸部外科の指針
原発性自然気胸に対する脱気療法
矢島 澄鎮
1
,
閨谷 洋
,
高橋 毅
,
齊藤 幸人
,
門倉 光隆
1富士宮市立富士宮病院 外科
キーワード:
気胸
,
再発
,
治療成績
,
患者重症度
,
胸腔穿刺
Keyword:
Thoracentesis
,
Pneumothorax
,
Recurrence
,
Treatment Outcome
,
Patient Acuity
pp.1125-1131
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122713
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著者らは2010年1月~2012年9月の間に原発性自然気胸患者23症例(男性19例、女性4例、年齢13~37歳)に対して脱気療法を行なった。今回、その安全性と成功率について検討した。脱気の方法は仰臥位にて第4肋間前腋窩あるいは第2肋間鎖骨中線より17Gカニューレ針にて穿刺し、50mlシリンジを用いて可及的に脱気を行い、処置後、X線像にて虚脱の改善を確認後に当日は帰宅させ、翌日に再診とした。1)脱気成功率は69.7%(23例中16例)であった。不成功7例中1例は脱気後のX線像で虚脱の改善がみられず、そのまま胸腔ドレナージが行われていた。また、他の6例は翌日のX線像で虚脱が進行したため胸腔ドレナージが行われていた。2)不成功7例中2例は同一症例であり、その他5例中2例は術後再発を繰り返している症例であった。3)再発例では9例中5例が不成功例で、特に術後再発例にかぎると4例中3例が不成功例であり、いずれも難治例であった。4)女性4例では全例が成功、年齢では20歳以下は9例中4例、21~30歳は5例中2例、31~40歳は9例中1例が不成功例であった。5)入院が不要な患者を判断できることほか、コスト面やQOL面においてメリットが大きく、脱気療法は原発性自然気胸の最初の治療として推奨してよいものと考えられた。
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