胸部外科の指針
心疾患と悪性腫瘍の同時合併例に対する治療戦略
大澤 久慶
1
,
村木 里誌
,
櫻田 卓
,
川原田 修義
,
佐々木 潤
,
荒木 英司
,
中島 慎治
,
高瀬 信弥
,
横山 斉
,
大徳 和之
,
福田 幾夫
1札幌中央病院
キーワード:
肝臓腫瘍
,
腫瘍
,
心臓疾患
,
ステント
,
僧帽弁閉鎖不全症
,
大腸腫瘍
,
大動脈弁狭窄症
,
心筋虚血
,
致死的転帰
,
非体外循環下冠状動脈バイパス術
,
急性冠動脈症候群
,
経皮的冠状動脈インターベンション
Keyword:
Aortic Valve Stenosis
,
Heart Diseases
,
Liver Neoplasms
,
Mitral Valve Insufficiency
,
Neoplasms
,
Colorectal Neoplasms
,
Stents
,
Fatal Outcome
,
Myocardial Ischemia
,
Coronary Artery Bypass, Off-Pump
,
Acute Coronary Syndrome
,
Percutaneous Coronary Intervention
pp.175-183
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014204283
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心疾患と悪性腫瘍の同時合併11例を対象に治療戦略について検討した。治療手順により対象を、心疾患を先行治療し二期的に悪性腫瘍の治療を行った4例(A群)、悪性腫瘍を先行治療し二期的に心疾患の治療を行った4例(B群)、心疾患または悪性腫瘍一方のみの治療で終了、或いは両者とも治療を断念した3例(C群)の3群に分けた。A群は全例が虚血性心疾患で、経皮的冠状動脈形成術(PCI)または心拍動下冠状動脈バイパス術(OPCAB)を行った。悪性腫瘍治療までの間隔は平均36.5日で、1例が生存(癌再発)、3例が癌死した。B群は1例が癌性イレウスで準緊急的に手術を行い、治療間隔は平均80.8日で、3例が生存、1例が肺癌死した。C群は、1例は急性冠症候群でPCIとOPCABを行い、大腸癌は患者希望により未治療となった。1例は肝臓癌に肝動脈塞栓術と経皮的エタノール注入療法を行い、僧帽弁閉鎖不全症は進行癌のため手術は行わなかった。1例はペースメーカー移植術を行い、大動脈弁狭窄症と肝臓癌は各々進行癌・高齢のため治療を断念し緩和医療とした。なお、3例とも癌死した。
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