発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011292644
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肺癌手術を行った197例のうち術前に抗血栓療法を受けていた26例(男21例・女5例・平均72.6歳)を対象に、抗血栓療法が術後臨床病理学的指標へ及ぼす影響について検討した。術前の止血・凝固系データでは、プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)がわずかに延長していたが、他の指標は正常範囲内であった。臨床病理学的には腺癌16例、扁平上皮癌7例、小細胞癌1例、その他2例で、TNM分類ではIA期14例、IB期4例、IIA期3例、IIB期3例、IIIA期1例、IIIB期1例であった。胸膜浸潤陽性例のpl2とpl3は2例ずつみられ、class 4以上の胸腔内洗浄細胞診陽性PLC(+)は6例と高頻度であった。各項目の組み合わせのうちPLCとPT-INRが関連性を示したが、他の組み合わせでは関連は認めなかった。抗血栓療法を受けていなかった154例との比較では、胸膜浸潤陽性例の頻度に有意差はなかったが、胸腔内洗浄細胞診陽性例は抗血栓療法施行群で有意に高頻度であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011