発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2011288484
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62歳女性。発熱、喘鳴、湿性咳嗽を主訴に受診となった。X線では左下肺野の腫瘤と両側下肺野を中心にしたび漫性のスリガラス状陰影がみられ、経気管支肺生検検体からは肺胞腔を埋め尽くす小円形細胞浸潤が認められた。更に核のくびれが目立ったことより悪性リンパ腫と診断された。一方、リンパ球分画の増加およびリンパ球のCD4/8比低下などの所見もみられたことから過敏性肺臓炎の併発も確認された。以後、治療として左肺下葉切除およびリンパ郭清術を行ったところ、切除した下葉はび漫性に多発する小結節や散在する肉芽腫がみられ、過敏性肺臓炎に特徴的な組織像であった。また、腫瘍は胸膜面へ露出しており、腫瘍周辺は多角巨細胞も伴い、腫瘍内には小型リンパ腫細胞が肺胞腔内を埋めるように増生していた。以上、これらのことより本症例は悪性リンパ腫のび漫性B小細胞型で、目下、手術から2年経過にて呼吸状態、スリガラス状陰影の悪化は認めず、経過は良好である。
©Nankodo Co., Ltd., 2011