発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2010265965
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79歳男性。患者は嚥下困難を主訴に近医を受診、後縦隔腫瘍を指摘され、精査加療目的で著者らの施設へ紹介となった。入院時、経口摂取はほとんど不可能で、胸部CTでは後縦隔に左房を前方に圧排する7×6cmの嚢胞性病変がみられ、食道透視では食道の圧排と通過障害が認められた。以上より、本症例は心膜嚢胞が疑われ、食道の圧排による嚥下困難を認めたことから、手術の方針となった。しかし、手術は病変が大きく、高齢であることから、切除ではなく右胸腔から嚢胞を開窓し、内容物のドレナージが行われた。その結果、術後、乳び胸が発症し、絶食およびMinocycline hydrochlorideによる胸膜癒着療法行われるも効果なく、初回手術から28日後に胸管結紮術が施行された。以後、2年経過現在、乳び胸は消失し、再発もみられていない。
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