動脈スイッチ手術の工夫と遠隔成績
肺動脈再建法 動脈スイッチ手術における肺動脈再建術式と遠隔成績
川田 博昭
1
,
岸本 英文
,
盤井 成光
,
石丸 和彦
,
齊藤 哲也
,
萱谷 太
,
稲村 昇
,
濱道 裕二
,
河津 由紀子
,
那須野 明香
,
前川 周
1大阪府立母子保健総合医療センター
キーワード:
再手術
,
術後合併症
,
大血管転位症
,
肺動脈
,
肺動脈弁狭窄症
,
治療成績
,
大血管スイッチ手術
,
肺動脈絞扼術
Keyword:
Arterial Switch Operation
,
Postoperative Complications
,
Pulmonary Artery
,
Pulmonary Valve Stenosis
,
Reoperation
,
Transposition of Great Vessels
,
Treatment Outcome
pp.303-309
発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2008178595
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当院で完全大血管転位に対し動脈スイッチ手術(ASO)を行った65例を対象に、肺動脈再建術式により異種心膜パッチ補填(XP群:11例)、Pacifico変法(P群:47例)、自己心膜パッチ補填(AP群:7例)に分け、予後、肺動脈狭窄(PS)に対する再手術もしくは経皮的肺動脈拡大術(PTPA)施行率、PS回避率などを比較検討した。術後平均追跡期間はXP群13年6ヵ月、P群7年7ヵ月、AP群2年であった。その結果、手術死亡はXP群の1例、遠隔期死亡はP群の1例で認めた。PTPA施行例はXP群2例(20%)、P群13例(28%)、AP群3例(43%)で、3群間で有意差はなかった。心臓超音波検査(UCG)によるPS回避率は、XP群、P群、AP群それぞれにおいて、術後1年:90、84.8、71%、2年:90、82.6、57.1%、5年:90、80.4%、(-)、10年:70、76.1%、(-)であった。ASO後中間値に行った最新UCGによる肺動脈でのVmax>3.0m/秒例は、XP群4例(40%)、P群14例(30%)、AP群3例(43%)で、3群間で有意差を認めなかったが、Pacifico変法ではより長期遠隔期のPS予防が期待できると思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2008