弁形成術の工夫と手術成績
僧帽弁前尖逸脱による僧帽弁閉鎖不全症に対する人工腱索再建術の長期遠隔成績
古川 浩二郎
1
,
蒲原 啓司
,
伊藤 学
,
古舘 晃
,
諸隈 宏之
,
森田 茂樹
1佐賀大学 胸部・心臓血管外科
キーワード:
腱索
,
再手術
,
再発
,
心エコー図
,
僧帽弁逸脱
,
僧帽弁閉鎖不全症
,
治療成績
,
僧帽弁形成術
,
Kaplan-Meier法
Keyword:
Chordae Tendineae
,
Echocardiography
,
Mitral Valve Insufficiency
,
Mitral Valve Prolapse
,
Recurrence
,
Reoperation
,
Treatment Outcome
,
Kaplan-Meier Estimate
,
Mitral Valve Annuloplasty
pp.273-277
発行日 2012年4月1日
Published Date 2012/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012219122
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前尖逸脱による僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対し人工腱索再建を用いて僧帽弁形成術を施行した30例(男18例、女12例、平均59.3歳)の成績を報告した。大動脈遮断時間平均144分、人工心肺時間210分で、手術死亡・入院死亡はなく、術直後のMRは0度21例、I度(微量)5例、II度(軽度)4例であった。遠隔期に4例の死亡を認め、心不全2例、癌死1例、肺結核1例で、生存率は10年、15年とも84%であった。再手術は2例に行い、1例は両弁尖逸脱例で、MR増強のため23ヵ月目に僧帽弁置換術を施行し、1本の人工腱索断裂が認められた。他の1例は前尖逸脱例で、術直後よりMRによる溶血を認め、16日目に僧帽弁置換術となった。再手術回避率は10年、15年とも93%であった。III度(中等度)以上のMR再発は4例に認め、前尖例3例、両尖例1例で、MR再発回避率は10年、15年とも81%であった。術直後MR別の遠隔期再発は0度群1例(5%)、I・II度群4例(50%)であった。
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