発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006051528
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
31歳女.顔面浮腫と臥床時呼吸困難を主訴に近医を受診,胸部X線像にて縦隔より右肺野に突出する境界明瞭な腫瘍陰影を指摘され精査加療目的で紹介入院となった.入院後の胸部CTにて前縦隔に9×5cm大の腫瘤と上大動脈内に腫瘍塞栓,多発性の肺転移を認め,CT下針生検にて卵黄嚢腫瘍と診断された.化学療法(CDDP+VP-16+MLB)4コース終了後の胸部CTでは腫瘍は著明に縮小し,肺内結節は消失しており,FDG-PETでは前縦隔腫瘍と上大動脈内の取り込みを認めたため,腫瘍が残存していると判断して手術施行となった.術中所見では腫瘍は手拳大・弾性硬で,両側の無名静脈が上大静脈に流入する付近から右房流入部までの上大静脈腹側に位置し,腫瘍周囲は瘢痕化しており,腫瘍摘出と上大静脈と右腕頭静脈の再建術を施行した.摘出標本の病理組織学的所見では腫瘍は肉芽組織で占められ,生存し得る腫瘍細胞は認めなかった.術後5ヵ月経過の現在,再発の徴候は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2005