特集 エンドソームの多彩な機能:細胞内分子輸送の新ルートマップ公開
エキソソームの形成機構
梶本 武利
1
,
岡田 太郎
,
中村 俊一
1神戸大学 大学院医学研究科生化学分野
キーワード:
Ceramides
,
エンドソーム
,
シグナルトランスダクション
,
Sphingolipids
,
細胞間コミュニケーション
,
細胞膜
,
脂質代謝
,
細胞内取込み
,
MicroRNAs
,
エクソソーム
,
Sphingosine 1-Phosphate
Keyword:
Cell Communication
,
Cell Membrane
,
Ceramides
,
Endocytosis
,
Endosomes
,
Sphingolipids
,
Signal Transduction
,
MicroRNAs
,
Lipid Metabolism
,
Exosomes
,
Sphingosine 1-phosphate
pp.168-173
発行日 2015年1月22日
Published Date 2015/1/22
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哺乳類の細胞はエンドサイトーシスを介して細胞外物質を細胞膜に覆われた小胞のかたちで取り込む.その小胞はエンドソームと呼ばれ,初期エンドソーム(EE)から後期エンドソーム(LE)への成熟過程で,あるものはリサイクルされ,細胞膜と融合し,またゴルジ体との活発な物質交換を行う.LEはESCRT系タンパク質の働きによりユビキチン化されたタンパク質を識別し,腔内小胞(ILV)に選別輸送(ソーティング)することにより多胞エンドソーム(MVE)を形成し,リソソームと融合することで分解方向へと進む.一方で,MVEのあるものは直接細胞膜と融合し,内部の小胞をエキソソームとして細胞外に放出することが知られる.最近,エキソソームは細胞間情報伝達の重要な手段として注目され,免疫細胞間の抗原提示,プリオン病や神経変性疾患の病態の伝播,がんの悪性化に向けた微小環境形成に重要な役割を担っていることが明らかになってきた.しかし,エキソソームの形成機構についてはこれまで不明であった.最近スフィンゴ脂質の1つであるセラミドがエキソソーム系MVEのILV形成に重要であることが示され,さらにセラミドの代謝産物,スフィンゴシン1リン酸(S1P)を介する情報がエキソソーム系MVEのILVへの積荷分子のソーティングに重要であることが明らかとなった.本稿ではエキソソーム形成に関するセラミド説,さらにS1Pシグナルの重要性など最近の知見を中心に紹介する.
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