マクロファージとは似て非なる細胞ミクログリアと神経変性疾患

ミクログリアは脳の防御機構の中心的な役割を担うグリア細胞で，細胞表面抗原，炎症性サイトカインなどの放出能や貪食能といった機能的な共通性からマクロファージに類似した細胞であると考えられてきた．ところが，最近の研究からその起源が異なることが判明し，それぞれに特徴的な発現分子プロファイル，生理機能や病態における役割について多くの知見が集積されている．また，神経病態におけるミクログリアの活性化はこれまで脇役として考えられてきたが，モデル動物を用いた研究により，病態を積極的に修飾する細胞であることが明らかとなり，ミクログリアに着目した病態解明や治療法開発に向けた試みが進捗している．