特集 生命システムのロバストネスとは何か?
【第3部】ロバストネスと進化 胚発生のロバストネスは進化にバイアスをかけているか?
入江 直樹
1
1東京大学 大学院理学系研究科動物発生学研究室
キーワード:
遺伝子淘汰
,
比較解剖学
,
脊索
,
器官形成
,
生物モデル
,
発生遺伝子発現調節
,
分子進化
,
ボディパターニング
,
遺伝子発現プロファイリング
,
生物多様性
,
胚発生
Keyword:
Anatomy, Comparative
,
Notochord
,
Models, Biological
,
Selection, Genetic
,
Body Patterning
,
Evolution, Molecular
,
Gene Expression Regulation, Developmental
,
Gene Expression Profiling
,
Organogenesis
,
Biodiversity
,
Embryonic Development
pp.84-88
発行日 2013年12月22日
Published Date 2013/12/22
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動物の胚発生のうち,進化的に多様化してきた段階はどこだろうか.発生初期だと信じられてきたが,近年の研究で発生の途中段階にあることがわかってきた.初期胚や後期胚は多様性に富み,発生中期の咽頭胚期は進化的に強く保存されているようだ.しかし,この発生砂時計モデルのくびれ部分が進化的に保存される理由がわかっていない.淘汰による偶然の産物という考えは根強いものの,発生システムのロバストネスあるいは脆弱性がこうした進化的多様性にバイアスをかけている可能性が議論されている.本稿では,発生システムのロバストネスあるいは脆弱性が進化的多様性を左右しうるという考えについて紹介し,問題提起の章としたい.
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