特集 生命システムのロバストネスとは何か?
【第3部】ロバストネスと進化 重複遺伝子が生み出す生命システムのロバストネス
牧野 能士
1
1東北大学 大学院生命科学研究科
キーワード:
生物学的適応
,
倍数性
,
遺伝子欠失
,
遺伝子量
,
分子進化
,
遺伝子重複
,
重複遺伝子
,
種分化
,
生物学的絶滅
,
遺伝子-環境相互作用
,
系統樹
Keyword:
Adaptation, Biological
,
Ploidies
,
Gene Deletion
,
Gene Dosage
,
Evolution, Molecular
,
Genes, Duplicate
,
Gene Duplication
,
Genetic Speciation
,
Extinction, Biological
,
Gene-Environment Interaction
pp.73-78
発行日 2013年12月22日
Published Date 2013/12/22
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遺伝子重複が生み出す機能的な冗長性は,重複遺伝子ペア間で機能補償を可能にし,遺伝的な突然変異に対するロバストネスを高める.進化過程において重複遺伝子ペアは徐々に機能的な冗長性が低下するが,機能が分化した重複遺伝子は環境から受ける撹乱に対するロバストネスに貢献する.また,すべての遺伝子が重複遺伝子となる大きな進化イベント“全ゲノム重複”は,環境変化に対するロバストな生命システムの構築に寄与し,環境激変時における生物の絶滅リスクを低減する.ただし,全ゲノム重複後にゲノム上に維持された特殊な重複遺伝子“オオノログ”は,いずれのロバストネスにも寄与しない.
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