特集 がんにおける代謝リプログラミング:低酸素・低栄養環境で増殖するための戦略
IDH変異を標的とした新たながん治療戦略
小川原 陽子
1
,
北林 一生
1国立がん研究センター研究所 造血器腫瘍研究分野
キーワード:
疾患モデル(動物)
,
腫瘍
,
神経膠腫
,
変異
,
骨髄腫瘍
,
Dioxygenases
,
分子標的治療
,
Alpha-Hydroxyglutarate
,
代謝産物
,
Isocitrate Dehydrogenase 1
,
Isocitrate Dehydrogenase 2
Keyword:
Disease Models, Animal
,
Glioma
,
Mutation
,
Neoplasms
,
Bone Marrow Neoplasms
,
Dioxygenases
,
Molecular Targeted Therapy
,
Alpha-hydroxyglutarate
,
Isocitrate Dehydrogenase 2, Human
,
IDH1 Protein, Human
pp.145-150
発行日 2014年1月22日
Published Date 2014/1/22
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骨髄性腫瘍やグリオーマなどの様々ながんで,イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)遺伝子の変異が高頻度に見られる.野生型IDHはイソクエン酸とα - ケトグルタル酸(αKG)との相互変換を触媒する一方で,変異型IDHは野生型と異なり,αKGから2- ヒドロキシグルタル酸(2HG)を産生することにより,αKGを補助基質として必要とする様々な2原子酸素添加酵素の活性を阻害する.これまでに変異型IDH依存的な発がんモデルマウスが作製され,変異型IDHはがんの発症と維持の両方に必要であることが明らかになってきた.また,IDH変異は機能獲得型の変異で,がん特異的な作用を示すことから,新たな抗がん剤の標的候補として非常に期待されている.
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