特集 変わりゆく発生工学の今:核移植クローン・遺伝子改変の技術革新からヒト化実験動物の開発まで
ヒト化肝臓マウスモデル
末水 洋志
1
1実験動物中央研究所 バイオメディカル研究部
キーワード:
Serum Albumin
,
Thymidine Kinase
,
異種移植
,
移植片生着
,
肝臓
,
肝臓疾患
,
トランスジェニックマウス
,
免疫不全症候群
,
生物モデル
,
肝細胞
,
Cytochrome P-450 CYP3A5
,
肝細胞移植
Keyword:
Graft Survival
,
Immunologic Deficiency Syndromes
,
Liver
,
Liver Diseases
,
Mice, Transgenic
,
Models, Biological
,
Serum Albumin
,
Thymidine Kinase
,
Transplantation, Heterologous
,
Hepatocytes
,
CYP3A5 Protein, Human
pp.326-330
発行日 2012年2月22日
Published Date 2012/2/22
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薬物代謝酵素の特性に種差があることや,一部の感染症では宿主特異性に違いがあることから,マウスやラットなどのげっ歯類をヒトの代替動物として利用することには限界があった.このような問題を克服するためにヒト肝臓を個体レベル(invivo)で持つ“ヒト化肝臓マウス”が開発された.筆者らは異種細胞・組織の生着性がきわめて高い重度免疫不全NOGマウスを基盤に単純ヘルペスウイルスⅠ型チミジンキナーゼ(HSVtk)遺伝子を肝臓で特異的に発現する誘導型肝傷害マウス(TK-NOG)を確立し,ヒト肝細胞移植による肝臓の再構築に成功した.再構築したヒト化肝臓は,遺伝子発現パターンや酵素の肝小葉内分布,薬物代謝プロフィール解析から“ヒトの肝臓”として機能するものと思われ,今後,新薬開発や再生医療の発展に貢献するモデルになることが期待される.
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