特集 活性酸素シグナル制御とレドックスホメオスタシス
Cell Tech Eye ヒストン脱メチル化酵素LSD1を介した活性酸素産生による転写制御機構
伊東 健
1
1弘前大学 大学院医学研究科分子生体防御学講座
キーワード:
Formaldehyde
,
過酸化水素
,
遺伝子発現調節
,
活性酸素
,
c-myc癌原遺伝子タンパク質
,
Estrogen Receptors
,
c-bcl-2癌原遺伝子タンパク質
,
タンパク質アイソフォーム
,
Histone Demethylases
,
Lysine Specific Demethylase 1
Keyword:
Formaldehyde
,
Hydrogen Peroxide
,
Gene Expression Regulation
,
Receptors, Estrogen
,
Proto-Oncogene Proteins c-myc
,
Reactive Oxygen Species
,
Proto-Oncogene Proteins c-bcl-2
,
Protein Isoforms
,
Histone Demethylases
,
KDM1A Protein, Human
pp.155-156
発行日 2012年1月22日
Published Date 2012/1/22
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- 文献概要
LSD1(lysine specific demethylase 1; 別名AOF2またはKDM1)は,近年初めて見いだされたヒストン脱メチル化酵素であり,試験管内ではモノまたはジメチル化されたヒストンH3の4番目のリジン(H3K4)を特異的に脱メチル化する1) .LSD1は852アミノ酸からなるタンパク質で酵母からヒトまで広く存在しており,哺乳類ではさらにLSD1のアイソフォームであるLSD2/AOF1がある2) .これらのタンパク質はC末端側にフラビンを結合するアミンオキシダーゼドメイン(AOD)を有する3),4() 図1A).LSD1のアミンオキシダーゼドメインは構造学的にもモノアミンオキシダーゼ(MAO)やポリアミンオキシダーゼ(PAO)と類似しており,同様な触媒機能を有するものと推測される.LSD1の特徴はヒストン脱メチル化と共役して過酸化水素(H2O2)とホルムアルデヒドを生成することであり(図1C),jumonjiドメインを有する他のヒストン脱メチル化酵素ではH2O2は産生しない.
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