特集 抗腫瘍血管新生療法の新展開
Cell Tech Eye 抗血管新生因子としてのVEGF-A
菊地 良介
1
1名古屋大学医学部附属病院 医療技術部臨床検査部門
キーワード:
遺伝子発現調節
,
血管形成タンパク質
,
糖尿病-2型
,
マクロファージ
,
タンパク質スプライシング
,
Vascular Endothelial Growth Factor A
,
中和抗体
,
末梢動脈疾患
,
Wnt-5a Protein
Keyword:
Wnt-5a Protein
,
Diabetes Mellitus, Type 2
,
Gene Expression Regulation
,
Macrophages
,
Protein Splicing
,
Vascular Endothelial Growth Factor A
,
Angiogenic Proteins
,
Peripheral Arterial Disease
,
Antibodies, Neutralizing
pp.48-50
発行日 2015年12月22日
Published Date 2015/12/22
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生体内で血管新生をコントロールする主要な因子の1つにVEGF-A (vascular endothelial growth factor-A)がある.1980年代に同定されたVEGF-Aは,脈管形成および血管新生に関与する一群の糖タンパク質である.VEGFA mRNA前駆体は8つのエクソンから構成されており,少なくともヒトにおいて7種類のタンパク質をコードするmRNAが報告されている.すなわち,VEGF-Aはスプライシングバリアントの集団群と考えることができる.なかでも,アミノ酸残基165個のVEGF-A165 は,これまで血管新生を正にコントロールする因子として研究され,2004年以降,VEGF-A165 を抑制する抗体医薬(ベバシツマブなど)が抗がん剤として臨床応用されている.ところが,2002年にVEGFA遺伝子のExon8で新たなスプライシングバリアントが見つかり,VEGF-A165bと命名された.VEGF-A165bは,これまでのVEGF-Aの作用とは異なり,血管新生を抑制するというまったく逆の機能を有していた.
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