画像診断と病理
血管芽腫
油野 裕之
1
,
蒲田 敏文
1
1金沢大学附属病院放射線科
pp.812-813
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.15105/GZ.0000001234
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症例は50歳台,男性.ふらつきを主訴として来院.頭部MRIでは,小脳虫部に長径4cm大,やや分葉状の形態,境界明瞭な腫瘤影を認めた.腫瘤周囲の両側小脳半球には,T2強調像およびFLAIR像で高信号域が広がり,浮腫性変化と考えられた.腫瘤は脳幹を左側に圧排,また前方の第四脳室圧排に伴う水頭症が確認された.内部は,T1強調像では低信号,T2強調像およびFLAIR像では高信号,拡散強調像では低信号を呈した.T2強調像では腫瘤周囲にflow voidが多数認められた(図1-A;→).造影後のT1強調像では腫瘤の辺縁部に明瞭な造影効果を認めたが,腫瘤内部の嚢胞状部分には造影効果を認めなかった(図1-B).プロトンMRスペクトロスコピー[1H-MRS(TE 35ms,ROIは図1-B;□印)]では1.3ppmに1峰性の著明なピークを認め,lipidと考えられた(図2;→)[long TE 1H-MRSは未施行のため,lactate,macromoleculesと鑑別が問題となるが,解析ソフト(LCModel)での結果もlipidがメインであった].これらの画像所見から小脳の血管芽腫と術前診断され,その後,腫瘍摘出術が施行された.
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