第2特集 軽度認知障害疑いの方を支える
軽度認知障害とプライマリ・ケア
本人と家族にどうアプローチし,支援していくか
戸川 雄
1
1岡山家庭医療センター 津山ファミリークリニック
pp.1469-1473
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025110020
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
世界有数の長寿大国である日本のプライマリ・ケアの現場においては,加齢に伴う慢性臓器障害の一環ともいうべき認知機能の低下への対応は,避けては通れない永年のテーマである.医療を扱うテレビ番組や目を惹くキャッチコピーの書籍も多く,患者やその家族が「軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)」という用語を知っていることも珍しくなくなった.昨今ではAI の躍進も凄まじく,情報の要約から疾患の診断,個別化されたケアの提案,創薬に至る広い範囲で人間の仕事が次々と補完されてきている.そんな時代においても,人対人特有の血の通ったコミュニケーションや,文字どおりの「手当て」は色褪せないものと祈りながら患者と向き合う日々である.
本稿では,認知機能の低下が見え隠れし始めた患者本人や家族に対して,心構えの伝え方や,併存症の管理で気をつける点など,筆者の私見を交えつつ共有したい.

Copyright© 2025 NANZANDO Co.,Ltd. All Rights Reserved.