連載 五臓の働きを知り 補う治療で元気にする!Dr.Shinのよくわかる即戦力漢方 第15回
片頭痛に三刀流で挑む
橋本 進一
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1医療法人若樹会 橋本医院
pp.1220-1228
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025090035
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片頭痛の治療ポイント
▶ 片頭痛の治療は予防と発作時に分けて考える必要がある.片頭痛は前兆の有無や症状によって分類されるが,漢方および栄養治療ではとくに分類を意識せずに治療可能である.
▶ 西洋医学的には予防薬として,カルシウム拮抗薬,抗てんかん薬,β遮断薬,抗うつ薬などがあるが,近年CGRP関連薬の上市により一気に治療が進歩した.また,発作時には痛み止めとしてNSAIDs,アセトアミノフェンが使用されていたが,片頭痛発作治療薬としてトリプタン製剤の出現は発作治療の世界に変革をもたらした.
▶ 漢方治療薬では発作時に
▶ 栄養学的には,マグネシウム,ビタミンB2,コエンザイムQ10がガイドラインでは紹介されているが2),筆者はとくに鉄とビタミンDの2つが片頭痛予防に重要と考え,実臨床で活用している.
▶ 鉄補充の目安はフェリチン値を50 ng/mL以上,ビタミンDでは25(OH)VDの血中濃度を40 ng/mL以上で有効性が高まるが,筆者の経験上,とくにビタミンDは個々により必要量が5倍以上違うために,投与量を一律に決めることはできない.
▶ 閉経を過ぎると片頭痛の頻度や程度は軽快する.片頭痛は女性の月経周期に関与しており,鉄代謝や女性ホルモンのダイナミックな変動が関連因子であり,治療の糸口になると思われる.

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