連載 総合診療POEMs ─診療で使える!旬なオススメ文献─ 第21回
高齢がん患者の治療方針の決定のプロセスにおけるCGAの重要性
岡田 悟
1
,
吉村 瑞希
2
,
海永 千怜
1
,
玉井 杏奈
3
1東京北医療センター 総合診療科
2台東区立台東病院 総合救急診療科
3台東区立台東病院 総合診療科
pp.111-115
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.15104/th.2025010020
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フレイルな高齢者にがんが見つかったらどうする?
フレイルや老年症候群による複雑な問題を抱える高齢者への介入には包括的高齢者 評価(comprehensive geriatric assessment:CGA)1)が有効とされており,日常診療で CGAを行う機会は増えている.期待される効果として,診断の正確性の向上,ケア・ リハビリの最適化,医療的なアウトカムの改善,入院中の合併症などの予防,退院計 画やケアプランの最適化などがあげられる.
高齢患者の診療経過でがんを診断,治療する機会も増えている.治療選択肢には手 術・放射線・抗がん薬・緩和ケアなどがあり,期待される治療効果・安全性・患者の 価値観を考慮して選択される.とくにフレイルな高齢者では治療の負担により生活の 質を落とすリスクも高く,方針の決定には注意を要する.
筆者自身にも担当患者に偶発的にがんが見つかった経験がある.高齢でフレイルに もかかわらず,有害事象や合併症に対するイメージのないまま侵襲的な治療を強く希 望される患者・家族もおられた.また,医療者側も客観的な評価ツールを用いること なく,患者の年齢や一般状態などを主観的に判断して方針を決定する傾向があり,そ の妥当性に確信をもてないこともあった.どのような項目を評価してがん治療への耐 性を評価すべきか? 患者・家族と現状をどう共有し,適切な侵襲度の治療方針を選択 すればよいだろうか?
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